研究概要 |
本研究の目的は,地上からの月面連続分光スペクトルを撮像する装置を開発して,これらを用いて月の表層岩石種の3次元マップを作成し,インパクトテクトニクスの観点から分類し,地殻・上部マントルの成層構造とその進化を明らかにすることであった。 本年度は,昨年度実施の連続分光装置の設計を基に,部材調達を実施し,分光器の製作,位置確認用ビューワー装置の設計・製作,ならびに,可視・近赤外領域の撮像装置を組み合わせた連続分光イメージング装置としての組み立て製作・構築を引き続き実施し,装置を構築した。さらに,屋内における性能評価も実施した。光学系(天体望遠鏡(口径30cm, F5)+補正レンズ)を含めた月面連続分光撮像装置の月面空間解像度は,可視領域で9km(2.25km/画素),近赤外線領域で20km(10km/画素)となり,波長解像度は,可視領域で10nm(2.3nm/画素),近赤外線領域で20nm(10nm/画素)である。SNは,撮像画像を複数枚重ね合わせることにより200以上を確保している。 伴わせて,多数の撮像枚数に対しても対応可能なように,光学系・カメラセンサ・分光器の特性を除き有効な反射率を得るための取得データの一次処理(案電流・フラットフィールド補正・ビニング等)ルーチンプログラムを作成し,取得データ解析準備を整えた。狭帯域フィルターによる月面撮像を可視-近赤外線領域の6波長帯に対して実施し,補正用データベースを構築した。 本年度の研究により,可視から近赤外の波長領域で同時に連続分光しイメージングする装置を用いて月面の撮像に成功し,月の海の領域の連続分光イメージが初めて取得でき,岩相マップへの道が開けた。
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