今年度は千島弧、パプアニューギニア、アラスカーアリューシャン地域に重点的をおいて解析を行った。 1980年代以前についてはWWSSNの記録しかないのでそれらを掘り起こし解析を行った。地震計の特性としては現在の広帯域地震計に比べ帯域が狭いが、現在の解析と比較することができる十分な結果を得ることができた。千島弧ではたびたびM7を超える巨大地震が起きており、ほぼ30年の間を置いて同じアスペリティが破壊していたらしいことがわかった。このことからここでのseismic coumpingは100%と考えられる。 今回新たに問題となったことは震源の位置、つまり破壊開始点の重要性である。が、日本国内と違い地域によって決定精度などに問題がある場合がある。今回はUSGSの震源またはISCの震源を元に解析を行ってきた。震源債決定等も行ってみたが、構造等の問題もあり深さまでをしっかり決めることにはいろいろと問題があることがわかった。今後アスペリティ分布を議論するに当たって、破壊開始点の位置について吟味する必要性がある。次回の検討課題としたい。 一方北海道太平洋側地域についてもさらに解析を行った。2003年に起きた十勝沖地震は1952年十勝沖地震のアスペリティ(の1つ)と合致することがわかった。このことから2003年十勝沖地震は1952年の再来地震であることが言えた。 今年度はもう少し多くの地域の解析を分担者である故菊地正幸と行うはずであったが、病に倒れてしまい、共同研究者を失ってしまった。そのため全地域での解析を行うことはできなかった。
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