研究概要 |
第四紀の表層加重の再分配はマントル・外核・内核の差分回転を引き起こし種々の興味深い地学現象と関係していると考えられている。例えば、氷床変動と地球磁場変動の関係などが考えられるが、どのようにリンクしているかはこの現象に伴う差分回転を定量的に見積もる必要がある。本研究においては、この現象を定量的に評価することを目的にしている。具体的には、マントルを粘弾性体,外核をinviscid,内核を有限の粘性率を持った粘弾性体としたモデルによる種々のラブ数を評価するプログラムを開発し,それらを定量的に評価した。特に,内核と外核の差分回転による一般化されたラブ数(当然時間の関数)を,マントルや内核の粘性率,マントル・外核(CMB)と外核・内核(ICB)の密度ジャンプの関数として評価した。CMBとICB境界においては、粘性結合と電磁結合を考慮して地球全体、外核、内核の角運動量保存の式を導いた。電磁結合においては、ICB域でのポロイダル磁場の強度が重要であることが確かめられた。上記の一般化されたラブ数、種々の地球表層の質量再分配(forcings)、地球全体,外核,内核の角運動量保存の式に基づき、差分回転を評価するプログラムを開発し,現在本研究課題で購入したコンピューターにより計算を行っている。現在までに得られた結果(特に、数学的形式化について)と、海水準変動(特にパルス的な海面変動)や地球磁場変動のデータを考慮し、第四紀の氷床変動と地場変動の関係を考察し現在国際誌に投稿中である。
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