研究概要 |
第四紀の表層加重の再分配はマントル・外核・内核の差分回転を引き起こし種々の興味深い地学現象と関係していると考えられている。例えば、氷床変動と地球磁場変動の関係などが考えられるが、どのようにリンクしているかはこの現象に伴う差分回転を定量的に見積もる必要がある。本研究においては、この現象を定量的に評価することを目的にしている。具体的には、マントルを粘弾性体、外核をinviscid,内核を有限の粘性率を持った粘弾性体としたモデルによる種々のラブ数を評価するプログラムを開発し,CMBとICB境界においては粘性結合と電磁結合を考慮して、地球全体、外核、内核の回転変動を評価している。電磁結合においては、ICB域でのポロイダル磁場の強度が重要であることが確かめられ、かつあるパラメータ範囲(粘性率やICB域でのポロイダル磁場の強度)では外核の西方移動や内核のスーパーローテーションが本モデルで説明できることがわかった。現在までに得られた結果(特に、数学的形式化について)と、海水準変動(特にパルス的な海面変動)や地球磁場変動のデータを考慮し、第四紀の氷床変動と地場変動の関係の論文は国際誌に2003年に掲載された。現在地球自転速度と極移動のカップリングがICB域の電磁結合の結果生じるのではないかとの考えのもとに研究を進めている。数式化とプログラムはほぼ完成し、次年度はこの結果を国際誌の投稿する予定である。これらの計算は、本研究課題で購入したコンピューターを使用している。
|