研究概要 |
沖縄県石垣島から台湾に至る南西諸島南部地域は,地震活動が大変活発な場所である.最近の10年間に限ってみても沖縄県西表島で1992年西表島群発地震,1992年には台湾東海岸沿岸でM6クラスの地震が頻繁に発生,1998年5月には石垣島南方沖の地震(M7.6),2001年12月には与那国島南方海域でM7.3,2002年3月には台湾東部沿岸でM7.0が発生,これらの地震は被害は無かったものの津波が観測された地震も含まれる.しかしながら,この地域は小さい島で構成される弧状列島であるということ,そして台湾と国境を接する制約から,気象庁を初めとする国立機関の観測網の整備は,他の地域と比較すると立ち後れていた.そのため,この地域で発生する地震の起こり方やメカニズムがよく解っていないばかりか,地震の震源決定精度も他の地域と比較して良くない.その結果,フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震面の特徴がはっきりせず,テクトニクスの解明が不十分である. 本研究では,1991年西表島で群発地震が発生して以来,南西諸島南部地域で独自の地震観測網を展開し,地震活動に関する研究を継続してきた.その結果,気象庁・台湾当局のそれぞれ震源決定精度が震央は約10〜20km,震源の深さでは約50km程度のずれが生じていたことが明らかになった. 本申請課題では,さらに震源データと衛星データを用いて陸域の地形解析(断層解析)を行い,震源の深さ分布からフィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震断面の推定を行う.また,地震波形データを精査し.メカニズムの考察,フィリピン海プレートからの反射波を抽出することによってフィリピン海プレートの深さを見積り,深さ断面とあわせ,フィリピン海プレートの特徴を考察していく.
|