研究概要 |
2004年3月,東海大学は大漢技術学院(台湾)と共同で,台湾東海岸花東縦谷北端付近の地下速度構造を明らかにする目的による地下構造調査をおこなった.花東縦谷は一級の活断層で,地震活動が活発である.そのため,過去にも被害地震が何度か発生したが,詳細な地震活動調査や地下構造探査が行われたという報告はほとんど無いのが現状である.調査方法は,採石発破を利用した屈折法地震探査を用いた.今回の観測では,約の47km測線に15点の臨時観測点を設けた.この測線は,花東縦谷の西縁辺部に沿っているため,地下構造も比較的単調であると予想される,測線の北端Aと南端Bの2箇所では,約100〜500kgのダイナマイトによる採石発破が定期的に実施されているが,今回はそれぞれ約100kgのダイナマイトが発破された.観測結果は,A・Bの発破点からの地震動はそれぞれ約20km離れた観測点まで地震波が確認された.見かけ速度は約4.0km/secと比較的早い.発破点から20km以上離れた観測点では,北端Aの発破ではノイズが多く初動の判別が難しいが,レイターフェーズはある程度追跡することが可能である.南端Bの発破の走時曲線では,見かけ速度約6.0km/sec層が以遠から追跡することが可能である. 花東縦谷北部海岸山脈付近「賀田山」「月眉」「山興」では,活断層調査を実施した.これらの活断層は今後の花東縦谷の活動に大きく関与し,大きな変動が予測される断層である.東海大学と大漢技術学院では1998年からこの地域に地震観測・地殻変動観測・リモートセンシングを継続して実施し,今回は地下構造探査を行った.これらの観測から得られたデータを総合解析したところ,歪みが蓄積し,将来の地震発生に繋がるストレスが地下に蓄積されつつあると考えられることが分った.
|