【回転水槽の製作】 この実験では、乱流が非線形相互作用で平均流を形成する前に減衰してしまうことを防ぐために、粘性による減衰を非常に低く抑えるかということが必要である。水槽の深さは深いほど流れの減衰が小さくなるので、通常の実験室の中で実験可能な限界に近い80cmの深さの水槽を製作し、それを高速に回転させるための回転台を製作した。また、期待される周極流の相対的な回転数は、水槽全体の回転数の0.1%程度なので、水槽の回転数は0.01%以上の高い安定性が求められる。そのためこの回転台は通常のサーボモーターではなく、ステッピングモータをコンピュータ制御するようにした。現在、調整中ではあるが、この目標は十分に達成できる見通しである。 【底摩擦を考慮した数値計算】 また、室内実験では底摩擦による減衰を避けることができないが、これまでの数値計算はすべて水平粘性のみを考慮し、底摩擦の影響を考慮していなかった。そこで、粘性の形によらずに周極流が現れることを確かめるため、室内実験で実現できる範囲の底摩擦を考慮して、数値計算をやり直した。その結果、室内実験で実現可能なパラメータ範囲で周極流が得られること、また底摩擦か水平摩擦かという摩擦の形態はそれほど大きな影響を持たないことが確認できた。 【その他の基礎実験】 乱流発生装置、および可視化方法に関する予備実験を行い、もっとも効率的かつ安定的に実験が行える方法を試行錯誤で探った。この結果をもとに、現在、乱流発生装置と可視化装置の製作中である。
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