研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、塩分測定用に広く使われているIAPSO標準海水(SSW)のトレーサビリティを塩分0.001のレベルで保つこと及び塩化カリウム定義溶液を用いてSSWのオフセットの成分を突き止めることである。海洋深層での塩分を塩分0.001のレベルで高精度に測定することは塩分そのものおよび淡水フラックスの観点から海洋学および気候変動の研究に貢献する。このために、最新のSSWのバッチまでについて、オフセットテーブルを提示した。このテーブルは日本とアメリカの2つの研究所(日本の海洋開発研究機構および米国ウッズホール海洋研究所)で同時期に同じ手順で同期させて行った複数回のSSW比較実験の結果をもとに、作成された。P103かP144までのSSWのオフセットは塩分-0.002から0.0001の範囲にあった。現実の海洋データにおいて、WOCEで得られたP1およびP17航海での塩分データと1999-2001年に行った再観測の塩分データの間に見られた不自然な塩分変動あるいは日本海での塩分変動は提示したオフセットを用いて補正することにより、そのかなりの部分がSSWのオフセットに由来するものであることがわかった。従って、塩分データをSSWオフセットで補正することは、海洋学および気候変動の研究に有効である。SSWのオフセットの成因を突き止めるために行った塩化カリウム定義溶液を用いた実験の結果、同一濃度であっても塩化カリウムのロットにより電気伝導度に差があること、また、製造メーカーによっても電気伝導度に差があることが明らかになり、これがSSWオフセットの成因である可能性が示された。
すべて 2005 2002
すべて 雑誌論文 (4件)
Deep-Sea Research Part-I 52
ページ: 389-396
Deep-Sea Research Part-I 49
ページ: 1103-1114
Deep-Sea Research Part-I 49, 6