研究概要 |
1.研究代表者の加納は,南インドダルワールクラトンにおいて,海外研究協力者のJayananndaとともに採集したペンニンスラー片麻岩(34〜33億年前の始生代花崩岩類-TTG-起源の片麻岩)と始生代末(25億年前)のクロスペット花崗岩について,代表的試料各60数個を選び,記載岩石学的研究と全岩化学分析を行い,同クラトンのほぼ全域にわたる基礎データを得た.すなわち代表試料の大型研磨スラブを作成し,写真撮影,岩石組織の観察,モード測定(研磨片と薄片の鏡下測定との比較),XRFによる主要成分および微量成分の分析を行った. 2.また加納は,日本島弧における大陸性基盤と考えられる飛騨帯の花崗岩について試料採集を行い,上記と同様の分析を行い,始生代花崗岩と顕生代花崗岩との比較検討を行うための基礎データを得た. 3.研究協力者の今岡,大和田は全岩化学分析に協力するとともに,比較試料として西南日本の中生代末の島弧型花崗岩の現地調査に協力した. 4.海外共同研究者のJayanandahaは,前年度に引き続いてNd-Sm同位体分析を行った.本年度は同氏とフランスRennes大学J-J.Peaucat教授の協力により,TTGに伴うコマチアイト類のNd-Sm同位体の抽出に成功し,有意の年代値(約32億年)を得た. 5.本年度中に得られたデータについては現在解析をすすめつつあり,順次公表の予定である.昨年度の成果については,インド地質学会誌(別紙)と2003年9月に行われた花崗岩の国際シンポジウム(5th Hutton Symposium)において印刷・公表した.
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