研究概要 |
研究代表者の加納は,これまでの2ヵ年間の各種分析結果に加え,本年度に実施した補足的な分析データを加えて,表記課題に関する研究総括を行い,2004年11月13日〜15日に高知大学で行われた国際シンポジウム「Gondwana Evolution and Dispaersal」において発表した.その要旨は以下のとおりである. 1.本研究課題のダルワールクラトンは,ゴンドワナ大陸の中核的部分の1つであり,その主要構成岩石である始生代花崗岩類の性状と熱史は,同大陸の形成と変化に関わる重要な意味を持つ. 2.これまで系統的データのなかった始生代花崗岩類のモード組成を与えた.これまでTTG,すなわちカリ長石に乏しい花崗岩類と信じられてきた中に,相当量のカリ長石を含む花崗岩類を見出した. 3.全岩分析値・微量成分など,始生代TTGと始生代末のクロスペット花崗岩との地球化学的検討を行った.その結果,従来岩相や産状の上でTTGと考えられてきた岩石は,多様な起源をもち,一部は30億年以前の古い基盤をなすが,相当量は始生代末(2.52Ga)のクロスペット花崗岩に同期のものである可能性が大きいことがわかった.両者は始生代末の全域的な高度変成作用を受けるために,従来区別が難しかったのである. 現地における共同研究者のJayananda博士(Bangalore大学)は2度来日し,XRF,EPMA分析等を行った.この際,研究代表者の加納と,上記結果に基づきTTGの再検討を行うための重要地域を選んで,共同研究を発展させるべく討議を行った.
|