研究概要 |
平成15年度については,秩父累帯南帯,四万十帯および足尾帯において調査・研究を行い,以下の様な成果をえた. 1.九州の佐伯西方の四万十帯北縁部から秩父累帯南帯にかけての地質調査を行った.また,この地域における砂岩の組成変化の一般的傾向を明らかにするため,砂岩の組織的な試料採集を行った.とくに海山(列)の衝突と密接に関連して形成されたと推定される床木層(三宝山ユニット)中には,粒子のほとんどがチャートからなる砂岩が存在する.これらの砂岩は,斗賀野ユニットの砂岩と類似した組成的特徴を示す砂岩と連続的な組成変化を示す. 一方,この地域には緑色岩類も多く認められる.これら緑色岩類の岩石学的・地球化学的特徴を検討するために,アンカラマイトを含む玄武岩類の岩石学的・地球化学的特徴を検討中である. 2.四万十帯南帯の清水層と在岬層に含まれる安山岩類の産状を詳細に検討した.これらの安山岩類はブロックもしくはデブリーフロー中の礫として含まれる.これらの安山岩類について化学分析を行ったところ,多くが玄武岩であり,安山岩はわずかであること,海洋島組成を示すこと等が明らかになった.今後,さらに詳細な地球化学的検討を行うとともに産出の意義を解明する予定である. 3.足尾山地南東部の葛生地域北部を中心に10日間の調査を行った.同地域で緑色岩・石灰岩などの小岩塊を含む混在岩とスレート劈開の発達する地質体を識別し,混在岩の変形構造の観察,イライト結晶度を求めるための岩石試料の採取を行った.
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