研究概要 |
1.データ収集 これまでに出版されたDSDPおよびODPのInitial ReportsとScientific Resultsを検討し,堆積物の化学成分などが記録された航海と地点を選んだ.その中で白亜紀から現在までの地質時代においてなるべく長い記録があるものを抽出し,コアの密度,堆積速度,年代,化学成分,酸素・炭素・Sr同位体比に関する項目をデータベースに入力した.入力したデータをもとに50万年間隔で平均値を計算し,それぞれのコア毎に炭酸塩平均堆積速度を求めた.この結果得られた海洋の堆積速度と以前の研究者によって得られた大陸棚での堆積速度を足し合わせ,全地球炭酸塩堆積速度の変化を推定した. 2.コア試料分析 これまでに掘削された多数のコアの中から1箇所で白亜紀から現在までの地質時代を連続的にカバーしているODP Leg159 Site959D(大西洋セネガル沖)を選び,試料をリクエストした.その結果,これまでに重さ25gの試料を約800個得ることができた.これらの試料を強熱減量法,アルカリ抽出法,蛍光X線分析(XRD)法,X線回折(XRF)法を用いて主成分の化学分析を行なった.強熱減量法によって炭酸塩と有機炭素量を測定した.次に,東北大学大学院理学研究科の現有設備を利用してアルカリ抽出を行ない,非晶質シリカを定量した.それによって,古第三紀から現在までの生物源オパールの沈積流量を推定した.また,XRF分析によってSi,Ca,Na,K,Fe,Mgなどの主成分を定量した. 平成14年度の研究では約300個の試料を試験的に分析し,炭酸塩,有機物,生物源シリカ,それ以外のSiなどが十分高い精度で分析されたかを検討した.
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