研究概要 |
平成14年度は次の結果を得た。 ◇1)長崎県高島炭田地域,同・崎戸零松島炭田地域,熊本県三池炭田地域,同・天草炭田地域,および福岡県筑豊炭田地域の計5地域で始新統〜漸新統を対象に野外調査を行い,渦鞭毛藻化石分析用試料ならびに貝類化石群検討用試料を採取したほか,10セクションにおいては縮尺1/200の詳細な堆積主状図の作成を行った。 ◇2)1)で作成した堆積柱状歯唐もとに,始新統〜漸新統の堆積環境を予察的に考察した。その結果はKuritaet al.として論文にまとめ印刷中である。 ◇3)1)の調査で合計約125個の渦鞭毛藻化石分析用試料を採取した。そのうち高島炭田地域で採取した試料について予察的渦鞭毛藻化石分析を実施し、伊王島の古第三系(高島階上部〜間瀬階下部)は始新統さあることなどを明らかにした。その成果を栗田裕司・山口龍彦「長崎県高島炭田地域,伊王島より産出した始新世渦鞭毛藻化石群集とその意義」と題して日本古生物学会第152回例会にて口頭発表を行った ◇4)1)の調査で,貝類化石群の検討用として合計15試料を採取した。現在までに高島炭田地域の伊王島層の貝類化石群について分類学的な検討を行い,腹足類1属1種,二枚貝類6属6種,掘足類1属1種を同定した。このうち,伊王島層から従来Cardium(Cerastoderma)hizenensis Nagaoとして記載された種はその分類学的位置について見解が分かれていたが今回の検討の結果,トマヤガイ科の新属に含まれることを明らかとした。この新属については現在Journal of Paleontology誌への投稿原稿を作成中である。 ◇5)日本国内およびその周辺海域の第三紀渦鞭毛藻化石および貝類化石に関する最新の知見を4篇の論文にまとめ公表した。
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