研究概要 |
本年度は、平成14年度に採取した北海道東部厚岸・浜中・根室地域に分布する根室層群の堆積岩試料を対象に予察的測定を行った.試料採取層準は、下位の尾幌川層から厚岸層(岡田・平,1984)に至る層厚約千メートルの泥質岩層である.古地磁気試料採取ルートはすべて、露出状態の良い海岸線沿いで、すでに本研究分担者(重田)によって予備踏査が行われたルートから選択した.また、同ルートではすでに炭素同位体比測定も行われている(成瀬、私信).これらの層準からは、Maastrichtian階を示すアンモナイト(Matsumoto、1967;成瀬ほか、2000)が産出し、サハリン-北海道の上部蝦夷層群や淡路島の和泉層群に対比されている(成瀬ほか、2000).同層群は、蝦夷層群と異なり火山性砕屑物の混入が多いため、強度が強く安定な残留磁化を保持していることが期待された(Fujiwara & Kanamatsu,1990)、これまでの予察的な測定結果は、整形作業中に破損した約20%の試料を除き、事前の予想を裏づけるものであった.これらの予察的研究結果をふまえ、H16年度には残された試料の測定を完了するとともに、特にCampanian/Masstrichtian境界を含む上部Maastrichtian階相当層準、具体的には羽幌地域の羽幌川支流など複数のルートに分布する上部蝦夷層群を対象とした補足試料採取を行う予定である.一方、多数の試料を効率的に測定するための超伝導磁力計測定システムの整備と解析ソフトウェアの開発も行った.
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