研究概要 |
平成14-15年度に行った根室層群尾幌川層・厚岸層(上部Maastrichtian),および蝦夷層群(羽幌地域・羽幌川支流,留萌地域・古丹別川流域)の古地磁気試料測定を終了した.本研究とこれまでの他地域の研究を比較検討した結果,北西太平洋の上部白亜系(北海道,九州,四国,ロシア・サハリン)の相互対比と地磁気極性タイムスケールとの対比が可能となった.この総合古地磁気層序と化石層序を対比した結果,これまで地域性が強く国際対比が困難とされた北西太平洋の大型化石層序を,欧米の模式層序と対比することができた.例えば,北米のGreat Valley SequenceやWestern Interiorの上部白亜系に唯一存在するが,その対比に議論のあった逆極性層準がクロンC33rに相当することが明らかになった.さらに北海道を主とする本邦上部白亜系に見いだされる複数の逆極性層準がクロンC31rからC33rに対比されることがわかった.古地磁気層序と化石層序の双方が最も連続なものは,南サハリンのブイコフ層上部〜クラスノヤルカ層であり,この層序を基準とすることによって,北西太平洋白亜系の相互対比と国際対比が可能である.今後,放射年代測定や炭素同位体比分析を組み入れることによって,より総合的でグローバルな国際対比が可能となり,地球史の中で最も温暖な白亜紀の気候変動やその成因,さらには白亜紀スーパークロンの地磁気変化などを明らかにすることができよう.
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