研究概要 |
研究計画全体のうち本年度については,(1)国立科学博物館動物研究部,地学研究部,および鹿児島大学農学部の現生アマミノクロウサギ標本について,頬歯,頭骨,体骨格のデータをとること,(2)中国産のプリオペンタラグス化石について,頬歯および頭骨の記載およびデータ,イラスト製作を進めることを主な計画とした.このうち,(1)については,国立科学博物館の標本については頬歯と頭骨のデータを取り終え,頬歯についてはイラストを作成した.また,海外共同研究者の金博士にも来日してもらい,この作業の一部を分担してもらった.(2)については,金博士の指導の下,多数の化石標本のクリーニング作業を進めてもらったうえ,代表者が北京へ出張し,約120点の下顎および頭骨の歯列について,記載用データを取るとともにスケッチ等を行った.また,頬歯の特徴を主な根拠として,新種の記載論文の準備を進めた. 研究成果の公表については、本研究が採択される以前にすでに一部進めていた下顎第三前臼歯の形態変化に基づくプリオペンタラグスーアマミノクロウサギ系列の進化についての論文(裏ページ1件目),および下顎第三前臼歯以外の下顎頬歯に見られるエナメルのくびれの存在と頻度によって,北アメリカのアズトラノラグスとプリオペンタラグスが系統関係にあることを示唆する予察的研究を,10月にアメリカ・オクラホマ大学で開かれた古脊椎動物学会で発表(同2件目)を行った.
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