研究概要 |
平成14年度の主な調査研究実績は,(1)4〜5月の美濃丹波帯緑色岩・ピクライト調査(9月の日本地質学会新潟大会で市山・石渡が報告-要旨集p.210),(2)5〜6月のロシア沿海州シホテアリン山地のアラスカ型超苦鉄質貫入岩体及びピクライトやメイメチャイトの溶岩・岩脈・岩床調査(同大会で石渡他が報告-要旨集p.3),(3)8〜9月の上越帯青色片岩及び付加体岩石調査(清水・石渡が論文準備中),(4)9〜10月の京都府夜久野町地域の夜久野オフィオライト調査(成果は夜久野町史に印刷中.別にIchiyama & IshiwatariでThe Island Arc誌に投稿中)である.また,平成14年度に出版された(または印刷中の)関連する成果は次のようである(裏面参照).近年オフィオライトの島弧・縁海系起源説が有力となるに従い,沈み込み帯火成活動,特に未分化な島弧火山岩の研究がオフィオライト研究にとって重要になってきている.石渡・今坂(2002)やLopez & Ishiwatari(2002)は北陸の地の利を生かしたそのような火山岩研究の成果であり,石渡(2003)も比較研究として典型的な大陸性火山岩の特徴を報告している.Tsujimori & Ishiwatari(2002)は日本列島最古の古生代前期大江山オフィオライトに伴う同時代の高圧変成岩の原岩が,古生代後期夜久野オフィオライトのものと同様なグラニュライト相変斑れい岩であることを報告している.Ishiwatari & Tsujimori(2003)は日本列島のオフィオライト・青色片岩組み合わせの成因と分布を,中国大陸,朝鮮半島,ロシア沿海州の古生代〜中生代テクトニクスの枠組みの中で総括的に論じ,「八重山突出部説」という全く新しい仮説を提唱している.Ishiwatari et al.(2003)は日本からロシア極東地域のオフィオライトの特徴をまとめ,幅広い形成年代,近い時代の青色片岩との随伴関係,高涸渇度かんらん岩の普遍的産出をこの地域のオフィオライトの特徴として,その成因を考察した.
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