従来の研究では、生成したペプチドの加水分解により生成するアミノ酸の組成分析から解析するなどなどアミノ酸組成・重合度の異なるペプチドを分離せず混合物のまま解析していた。そこで、本研究では、模擬原始海洋中で生成するペプチド分子を分離し解析することにより、アミノ酸組成や重合度ごとの特徴を明らかにすることを目的としている。 平成14年度は、アスパラギン水溶液の加熱系と熔融尿素中で生成するペプチドのHPLC-ESI-MSを利用した解析を行った。アスパラギン水溶液の加熱系では、重合度2から8のオリゴアスパラギン酸とそのれらモノアミド体の経時変化を求めることが可能となり、加熱約72hまでは逐次的に反応が進行することを明らかにした。また、検出された分子種の構造の特徴からとこれまでに提案してきた反応経路を支持した。 高極性溶媒として熔融尿素中の反応を解析したところ、アラニンをはじめとしてグリシン・バリン・ロイシンなどアミノ酸の種類に関係なくペプチドを形成することが明らかになった。ここで、生成したペプチドは、N-末端にヒダントィン環を有するものとカルバモイル基を有するペプチドが主要な成分であった。マススペクトルの解析から、ペプチド生成におけるアミノ酸構造の選択性には違いが観察されなかった。
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