研究課題/領域番号 |
14540457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
熊谷 英憲 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (10344285)
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研究分担者 |
佐藤 佳子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (40359196)
羽生 毅 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (50359197)
阿部 なつ江 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (80302933)
西尾 嘉朗 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (70373462)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 海洋底ペリドタイト / 単斜輝石 / ヘリウム同位体比 / 40Ar / 36Ar比 / リチウム同位体 / Dupal異常 |
研究概要 |
海洋底に露出するペリドタイトから変質の軽微な単斜輝石を分離し、複数の同位体系について分析する技術を確立した。これは、海洋底の火成岩類に対しても、広く応用が可能である。 複数の地域において、噴出したマグマである玄武岩とマグマを吐き出した残りに相当するペリドタイトについて、ヘリウム同位体比が一致することを実際の試料において初めて示すことができた。これにより、南西インド洋海嶺東経10度付近と東経55度以東とにおけるヘリウム同位体比の差異は、マントル物質そのものに起因することが明らかになった。より小さいスケールの変化として、連続露頭から採取した一連の試料について、ヘリウム同位体比はほぼ一定ながら含有濃度が3桁にわたって変化することも判った。これは、最上部マントルにおけるマグマ抽出の詳細が記録されていることを示唆する。 単斜輝石といえども、リチウム同位体のように変質に鋭敏な難揮発性元素においては二次変質の影響を考慮せざるを得ないことが判った。従って、アルゴン同位体のようないっそう二次変質の影響を受けやすい元素同位体を前もって分析し、変質が極めて少ない試料を選択、リチウムを含めた分析を行うという手順を確立した。モデル計算によると、変質が事実上影響しない^<40>Ar/^<36>Ar比は、中央海嶺試料単斜輝石においては1000以上となる。この条件を満たす試料は極めて限定されてしまうが、それに準ずる試料を加えた分析からは、玄武岩類でインド洋に特有にみいだされるDupal異常と呼ばれる系統的な同位体比異常がペリドタイトには現れないことを示すことができた。以上から、難揮発性元素に現れる同位体比異常にはマグマ生成・噴出の途中で付加される成分に起因するものがあることが判る。たとえば、マントル内には過去に海溝から沈み込んだ下部地殻物質が散在し、マグマ生成時に選択的に溶融・導入されるという形態が考えられる。
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