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2002 年度 実績報告書

分子クラスターを用いたC-H/π相互作用の赤外分光研究

研究課題

研究課題/領域番号 14540462
研究機関東北大学

研究代表者

藤井 朱鳥  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50218963)

キーワードC-H / π相互作用 / 水素結合 / 赤外分光法 / ベンゼン / アセチレン / 分散力 / クラスター / 二重共鳴法
研究概要

芳香族分子と炭化水素分子との間には「C-H/π相互作用」と呼ばれる引力的相互作用が働き、タンパク質の折り畳み構造や分子認識等に大きな役割を果たしているという仮説がある。この「C-H/π相互作用」はO-H・・・π型の水素結合と本質的に等しく、単にその強度を減じたものであるのか、あるいは分散力相互作用そのものであるのか、これまでに様々な議論がなされてきた。しかしながら、C-H/π相互作用のエネルギーは2-3kcal/molと見積もられ、このような微弱な相互作用の本質を多種多様な相互作用が重なりあう凝集相で解明することは極めて困難である。そこで本研究では、超音速ジェット中で生成する芳香族と炭化水素との1:1クラスターを用い、他の相互作用を排除してC-H/π相互作用のみを純粋な形で取り出し、観測することを試みた。
本年度では研究の初年度として、炭化水素中でも酸性度の高いC-H基を持つアセチレンとベンゼン誘導体とのクラスターに注目し、そのアセチレン側CH伸縮振動を赤外-紫外二重共鳴法で観測した。アセチレンのCH逆対称伸縮振動はベンゼンとのクラスター形成により約20cm-1の低波数シフトを示し、ベンゼンπ電子とアセチレンC-H基の相互作用によりクラスターが形成されていることが確認された。ベンゼンに様々な置換基を導入することによりπ電子密度を変化させると、それに対応してC-H振動のシフト値が変化するのことが観測された。また、ベンゼン、ナフタレンと受容体の分子サイズを変化させてもアセチレンC-H振動シフトに大きな変化は見られず、分子全体の分極率ではなくC-H基周辺のπ電子密度が相互作用強度を決めていることが分かった。以上の結果より、アセチレンのC-H基とベンゼン誘導体との相互作用はπ型の水素結合であると結論した。来年度では、より酸性度の弱いアルカン、アルケンと芳香族との相互作用について検証を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] A.Fujii, T.Ebata, N.Mikami: "An infrared study of π-hydrogen bonds in micro-solvated phenol"Journal of Physical Chemistry A. 106・37. 8554-8560 (2002)

  • [文献書誌] A.Fujii, T.Ebata, N.Mikami: "Direct observation of weak hydrogen bonds in microsolvated phenol"Journal of Physical Chemistry A. 106・43. 10124-10129 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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