研究課題/領域番号 |
14540464
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
菊池 修 筑波大学, 化学系, 副学長 (30015771)
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研究分担者 |
守橋 健二 筑波大学, 化学系, 助教授 (90182261)
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キーワード | パリティ非保存相互作用 / Ab Initio計算 / スピン-軌道相互作用 / L-アラニン / D-グリセルアルデヒド / コンフォメーション解析 |
研究概要 |
1983年に原子核と電子の間のパリティ非保存相互作用が原因でLアミノ酸がDアミノ酸に比べて安定であるとの理論研究がTranter等により報告されて以来、この相互作用と分子キラリティとの因果関係が注目されている。本研究では、我々が開発したSOCSCF法を用いてスピン-軌道相互作用を取り込んだ波動関数を求め、水溶液中でのコンフォメーション解析を詳細に行って、L-アラニン、D-グリセルアルデヒドの水溶液中におけるパリティ非保存相互作用エネルギーを見積もり、L体とD体の安定性を決定した。 SOCSCF法では、スピン-軌道相互作用(SOC)演算子も含めたハミルトン演算子を使い、一般化スピン-軌道で作られた単一スレータ行列式波動関数を求めるハートリー・フォックSCF方程式を解く。基底関数依存性、スピン-軌道相互作用のパリティ非保存相互作用エネルギーへの関わり合い、分子のコンフォメーション変化に対する値、などを根拠にし、計算方法を吟味し、適切な計算方法を提案した。 水溶液中におけるアラニン、グリセルアルデヒドの配座解析を詳細に行って、パリティ非保存相互作用エネルギー差を計算し、アミノ酸と糖におけるL体とD体の安定性を決めた。アラニンではL体はD体に比べて不安定であるとの結論を得た。これは特定の配座の計算結果から結論したTranter等の結果と相反するものである。グリセルアルデヒドの水和体はD体がL体より安定であることが示された。
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