研究概要 |
[目的,今年度の目標]これまで研究例の少ない分子アニオン,即ち負の電荷をもった分子イオンに注目し,遠赤外域に存在するそれらの回転遷移のスペクトル線を、炭酸ガスレーザー差周波型遠赤外分光計を使用して検出し、数十kHzの精度で精密に周波数測定することを目的とする。 [成果]今年度は校舎改築工事の時期に重なり、分光装置の分解、移転、再構築に多大の時間をとられたため、試料セルの最適化のための準備と、分光計を構成する赤外レーザーの改良を行った。 (1)試料セル最適化のための実験装置 試料の放電管の管壁に金属のコーティングをつけると負イオンの生成効率が1桁近くあがるということが知られている。そこで,様々な条件のコーティングを多数試験できるよう,水冷式2重管の内管を次々に交換できるような放電セルを準備した。管壁に積極的に金属コーティングを施したり、セル内部に金属壁を設けた放電管にして、様々な条件の放電管を構成できるようにしている。 (2)遠赤外分光計の改造 分光計の周波数精度を改善するために、レーザー光の安定化用フィードバックループ中の部品として用いられる赤外検出器を新規購入のものに交換した。また、レーザー発振の本数を多くするために、レーザー共振器を構成する反射鏡(特注品)を用意し、レーザーの発振特性を改善した。
|