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2003 年度 実績報告書

タンパク質における分子内振動エネルギー移動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14540474
研究機関横浜市立大学

研究代表者

木寺 詔紀  横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00186280)

研究分担者 池口 満徳  横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (60261955)
キーワードタンパク質 / ダイナミクス / 非調和運動 / 振動エネルギー緩和 / 拡散運動 / 回転緩和運動 / 立体構造変化 / 粗視化
研究概要

タンパク質における分子内振動エネルギー移動についての研究を行った。昨年度までの、高振動モードの非調和運動の研究を今年度は、低振動モードの運動に拡張した。その方針は、分子動力学計算で得たトラジェクトリーを解析するモデルとして、部分主成分分析法を適用し、その主成分空間の動きとして非調和性を抽出することにある。まず、主成分空間の原点の運動を自己相関関数から見たときに、振動成分と拡散成分に分離することができ、自己相関関数を計算する窓が長くなると、振動成分の大きさが減衰し、拡散成分が優勢になることが見いだされた。これは、タンパク質の運動は、十分な時間で平均化(粗視化)すれば、拡散運動として捉えることができることを意味している。次に、主成分空間の回転を回転相関関数として見たとき、極めて短い緩和時間を持つ減衰振動として捉えることができることが分かった。しかし、その回転緩和は極めて限定された低振動モード空間で起こり、低振動空間におけるモードの擬縮退に対応して起こることが分かった。
これらのことを総合して、タンパク質の機能を記述するタンパク質の運動を理解しようとするとき、以下のように記述できる。タンパク質は生状態といわれる制約された空間の中で、粗視化してみれば、自由拡散運動を行っている。そこに、外部からの相互作用による摂動が加わると、それまでフラット(粗視化されたレベルで見たとき)であったポテンシャル面に、傾きが生じる。その傾きに従って、方向付けされた拡散運動としての構造変化が開始され、外部からの相互作用を加えた全ポテンシャルに対する安定状態に至り停止する。この描像を用いて、タンパク質の立体構造変化の静的、動的な観点の論理を構築することができるものと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] R.Koike, K.Kinoshita, A.Kidera: "Ring and zipper formation is the key to understanding the structural variety in all beta proteins"FEBS Letters. 533. 9-13 (2003)

  • [文献書誌] K.Moritsugu, O.Miyashita, A.Kidera: "Temperature Dependence of Vibrational Energy Transfer in a Protein Molecule"J.Phys.Chem.B. 107. 3309-3317 (2003)

  • [文献書誌] J.G.Kim, Y.Fukunishi, A.Kidera, H.Nakamura: "Determination of multicanonical weight based on a stochastic model of sampling dynamics"Physical Review E. 68. 021110 1-021110 8 (2003)

  • [文献書誌] J.G.Kim, Y.Fukunishi, A.Kidera, H.Nakamura: "Stochastic formulation of sampling dynamics in generalized ensemble methods"Physical Review B. 69. 021101 1-021101 10 (2004)

  • [文献書誌] K.Moritsugu, A.Kidera: "Protein motions represented in moving normal mode coordinates"J.Phys.Chem.B. 108. 3890-3898 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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