研究概要 |
グルコースとその鎖状オリゴマーの水和の様了を探るために,本年度は鎮状オリゴマーの一部について水溶液の密度と音速を測定し,部分モル体積と部分モル断熱庄縮を算出した。この測定をする際に,以下のような重要な問題が生じた。グルコースオリゴマーは鎖長が長くなるに従って急速に吸湿性が高まってくる。そのため,テトラマー以降のオリゴマーでは乾燥したサンプルを用いると,質量を測るまもなく水を吸収してしまうため物性測定に使用するのは不可能であった。そこで,物性測定の前に各オリゴヤーの吸湿速度を検討した結果,通常の条件下では十分な時間たてば平衡状態になり、氷分量は安定することが分かった。このことから,サンプルを大気にさらして十分な時間たった後,その水分をカールフィッシャー水分計で定量し,そこから濃度を決定するのが最適であることが分かった。この問題が解決したので,部分モル体積と部分モル断熱圧縮をグルコース,マルトース,マルトトリオースなどについて決定できた。部分モル体積については鎖長に対する加性則がかなり良く成り立っているようだが,部分モル断熱圧縮については必ずしもそうではないようである。より長いオリゴヤーについてまだ測定が終わってないので,今のところ結果に対する考察はしていない。また,本研究のもう一つの目標である分光学的手段による水和の研究については,本研究の日的に十分見合うだけの精度で測定できるように,本研究費で購入した分光計の測定セルの部分の温度制御機能を高めるための工夫をしている段階である。
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