研究概要 |
14年度に引き続き、側鎖にアルコキシビフェニル基を持つ側鎖型液晶ポリマーについてその構造、配向、熱的挙動について調べるために、DSC測定、偏光顕微鏡、偏光赤外測定、X線回折測定を行った。 平成15年度は赤外スペクトルデータの解析にも力を入れ、従来法の他に二次元相関分光法と密度汎関数法を用いて赤外スペクトルを温度変化について詳細に研究した。側鎖の長さの異なる3種類の側鎖型サーモトロピック液晶ポリマーを準備した。この液晶ポリマー(側鎖のアルコキシ部分がO(CH_2)_5CH_3,O(CH_2)_7CH_3,O(CH_2)_9CH_3のものをそれぞれR_2,R_3,R_4と呼ぶ)は、主鎖部分にフェニル環を含む判剛直な骨格をしており、側鎖部分は低分子液晶である。 温度変化赤外スペクトルより2種類のC=Oの状態が存在することが示唆された。また骨格主鎖部と側鎖メソゲンのフェニル環の伸縮運動を見分けることができた。フェニル環の伸縮振動領域(1540-1410cm^<-1>)とエーテルのC-O-C伸縮振動領域(1350-1150cm^<-1>)の二次元相関赤外スペクトルからこれらのバンドの帰属を行った。密度汎関数法を用いることにより赤外スペクトル-構造相関について知見が得られ、たとえばC-O結合のコンフォメーションの温度変化などが明らかになった。X線回折実験より主鎖部は側鎖部よりも低い温度領域でしか配向しないことがわかった。これは側鎖の運動が主鎖の配向を妨げることが原因であると考えられる。また異時相関赤外スペクトルにより主鎖部と側鎖部の配向に温度的なずれがあることがわかり、X線回折パターンと温度変化スペクトルから側鎖は主鎖よりも高い温度域から配向することがわかった。二次元相関偏光赤外-X線回折による解析をR_2,R_3,R_4について試みた。結果については解析中である。
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