研究課題/領域番号 |
14540481
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研究機関 | (財)レーザー技術総合研究所 |
研究代表者 |
谷口 誠治 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ化学研究チーム, 研究員 (00342725)
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研究分担者 |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127886)
コスロービアン ハイク 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ化学研究チーム, 研究員 (70291036)
又賀 昇 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ化学研究チーム, チームリーダー (30029368)
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キーワード | フェムト秒蛍光ダイナミクス / ポルフィリン-電子アクセプター超分子 / 光誘起電子移動 / エネルギーギャップ依存性 / S_2蛍光 / 蛍光アップコンバージョン / 媒体効果 |
研究概要 |
亜鉛ポルフィリンにフタルオミド及びその誘導体を直接結合した超分子系におけるS_2励起状態からの光誘起電荷分離過程について、高分子中での挙動を蛍光アップコンバージョン法(時間分機能約120fs)により観測し、媒体効果について検討した。高分子としてポリスチレンを用い、キャスト法によりフィルム(厚さ〜5μm、試料濃度〜10^<-3>M)を作成し、高速回転させることで光照射による試料の劣化を抑えた。超分子系におけるS_2蛍光は130fs〜800fsの減衰寿命を示し、高分子中においてもS_2励起状態からの超高速電子移動過程が起こることが分かった。蛍光寿命から得られる電子移動速度のエネルギーギャップ依存性について、ポリスチレン鎖と分子構造の類似した溶媒であるトルエン中のものと比較した。その結果、それぞれの系の蛍光寿命および電子移動速度のエネルギーギャップ依存性はほぼ一致し、いずれもベル型の依存性を示した。このことは、S_2状態からの超高速電子移動は周囲の溶媒のダイナミックな運動が制限されている場合にも起こりうることを示しており、興味深い結果である。また、水素結合によりNormal regionにおけるエネルギーギャップ依存性に変化が見られたアルコール中での電子移動過程について、粘度の大きいブタノール中での観測を同様に行い、これまでに得られたエタノール中での挙動と比較した。その結果、電子移動速度はそれぞれの超分子系で一致し、水素結合相互作用による効果は同様に観測されたものの、粘度による効果は観測されなかった。
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