研究概要 |
1.インダセン骨格を利用した超分子形成能を有する構造の構築-5員環部が還元されたインダセンでは、5員環は封筒形配座をとり、2,6-ではその置換基の内のより嵩高さの小さなものがインダセン骨格に対しほぼ垂直に配列される。この構造上の特徴を利用した下記の研究を行った。 (a)自己集合による新規篭状構造の形成と機能-(Z)-2,6-ジカルボン酸誘導体(1)を合成し、平面構造を有し2〜3方向から1と会合する塩基性化合物との会合による篭状構造の形成に検討を加えた。1は溶液中安定な二量体を形成しており、1との会合による安定な篭状構造の形成には二量体形成に勝る強固な会合を要し、なお今後の検討課題である。 (b)官能基化マクロサイクル合成-4,6-ジメトキ-(Z)-2,6-シジエチニル誘導体の合成法の開発とその酸化的カップリングによる大環状オリゴマーの合成を行った。ジメトキシ置換により芳香環は対照的な性質を示すヒドロキノンとベンゾキノン環にできる。それらの挙動を今後検討する。 (c)新規官能基化ロタキサンの合成-(E)-2,6-二置換体では、置換基はインダセン骨格を挟んで逆方向にほぼ平行に配列される。この特徴に着目してインダセン骨格をテンプレートとして利用し、かつ、その骨格を軸部とするロタキサン形成に検討を加えた。その結果、種々の官能基によって修飾されたロタキサン合成への高い可能性を見い出したので、次年度に一連のロタキサン類の合成とそれらの機能解析を行う。 2.新しい機能をもつマクロサイクルの構築-配向が固定されていない極性の異なる二種の官能基で修飾されたマクロサイクルの設計と合成を行った。それらの大環状構造の特徴は、その空孔内に溶媒の極性とは対照的な極性のミクロな環境を、極性と非極性の両溶媒中で作ることが期待される点である。次年度にその特性を明らかにする。
|