研究概要 |
1.極性溶媒と極性溶媒中でZ型アザトリエンのメチル・フェニル・メトキシカルボニル置換体の活性化障壁を求め溶媒効果の解析をおこなった。 2.トランス型アザトリエンの光照射によるシス体への異性化とジヒドロピリジンへの閉環反応を組み合わせた逐次反応を試み、新しい知見を得た。 3.フェノキシカルボニル置換体の特異な閉環反応生成物の構造を明らかにし、この化合物は六員環や八員環への閉環反応をおこさないことを新しく見出した。 4.アセチル・ベンゾイル・シアノ置換体へ拡張を試みたが、これらの系では合成段階に種々の障害があり、試みの途中にあるものも幾つか含まれる。 5.シアノ置換体で分離したアザテトラエンのZZ,EZ,EE体の化学的性質を検討した。シアノ置換体は、直鎖状構造を反映するNOEが観測され、八員環構造への閉環は進行せず、60度に加温するとC_5-C_6結合部位がトランス構造に異性化し(Z,E)-テトラエンを与える、同時にビニルジヒドロピリジンへの閉環が競争的に進行することが判明した。それぞれの活性化パラメーターは、ベンゼン中それぞれΔH^≠=21.3kcal mol^<-1>,ΔS^≠=-15.0cal K^<-1>mol^<-1>,ΔH^≠=25.4kcal mol^<-1>,ΔS^≠=-2.7cal K^<-1>mol^<-1>と測定された。同じテトラエンは、光照射でC_3-C_4二重結合がトランス構造に変化した(E,Z)-アザテトラエンを優先的に与える傾向があり、光異性化の波長効果と溶媒効果を検討し解析途上にある。エステル置換体は、室温でジヒドロアゾシンに異性化し、ΔH^≠=17.3kcal mol^<-1>,ΔS^≠=-15.1cal K^<-1>mol^<-1>の反応が進行することが明らかになった。
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