研究概要 |
1.非極性溶媒と極性溶媒中でZ型アザトリエンのメトキシカルボニル置換体の熱閉環反応に関する活性化障壁を再測定し溶媒効果の詳細な解析を試みた。 2.トランス型アザトリエンの光照射によるシス体への異性化とジヒドロピリジンへの閉環反応を組み合わせた逐次反応の可能性を追跡した。 3.フェノキシカルボニル置換体のイソシアネートを与える特異な転位反応を見出した。 4.Z型アザトリエンのアセチル・ベンゾイル・シアノ置換体へ拡張を試み、幾つかの新知見を得た。 5.シアノ置換体で分離したアザテトラエンのZZ,EZ,EE体の化学的性質を比較検討した。 6.1,2-ジヒドロピリジンの2-位にフェニル基を導入し、Z-アザトリエンの生成する光励起状態での共旋型開環過程の方向性に選択性があることを明らかにした。水素原子に比べて圧倒的に置換基体積の大きいフェニル置換基が分子の内側に回転して生成するC_5-C_6二重結合Z構造の生成物が20対1以上の優先性をもって進行する現象が認められた。 7.・1,2-ジヒドロピリジンの2-位にフェニル基に電子求引基と電子供与基の導入し、またフェニル基に比べより立体体積の大きいナフチル基の導入し、同様の高い反応選択性がみられることを明らかにした。 8.Z型アザトリエンには、室温領域で進行するジヒドロピリジン骨格への逆旋閉環過程(分子内反応)と、共存するアルコール類の炭素窒素二重結合へ求核付加という分子間の競争プロセスが存在する。両プロセスの速度論的解析により夫々の遷移状態の性質に言及することができた。
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