研究課題
基盤研究(C)
分子素子構築の研究では、これまで、情報の伝達が1電子の授受を介して行なわれてきた。その結果、生成するラジカルイオン状態の安定性に大きな問題を残していた。その解決に、2電子ずつの電子移動を伴う閉殻系の適応を試みた。その結果、アズレン環を複数個、2位もしくは6位で結合することにより、期待する2電子ずつの電子移動に基づくスイッチング機能を有する応答性分子の構築を達成した。アズレン環の2位および6位での直接の集積は、アズレン類の化学では適応例が少ない遷移金属触媒反応の活用によりはじめて達成された。また、遭遇した生成物の難溶化の問題は、長鎖置換基としてオクチル基もしくはヘキシルオキシカルボニル基を導入したアズレン類を用いることにより解消された。スペーサーを介した集積として立体障害の小さなエチニルスペーサーの導入が有効であることが明らかになった。生成した新規なπ共役系化合物の酸化還元的挙動についてはCV法により検討を加えた。その結果、結合するアズレン環数に対応して多段階の電子移動が達成されることが明らかになった。これらの化合物が、これまでの研究で提唱することができたシアニン-シアニンハイブリッド構造の概念に基づき、2電子の電子移動に基づくエレクトロクロミズム系として機能することを期待している。また、長鎖置換基の結合により、これらの化合物が、酸化還元的な応答に加え、液晶としての応答性機能を合わせ持つことを明らかにすることができた。さらに、結合するπ系にp-フェニレンジアミンを用い、複数のアズレン環と6位で結合することにより、アミンの酸化的挙動に加え還元的な挙動を併せ持つ多重の応答性有機酸化還元系の構築に成功した。また、アズレン類の有機金属試薬の開発および電荷移動により生成すると考えられるアズレン環の陽イオン状態における結合交替等を明らかにした。
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