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2002 年度 実績報告書

安定なシリルラジカルの結晶構造と性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14540487
研究機関群馬大学

研究代表者

久新 荘一郎  群馬大学, 工学部, 助教授 (40195392)

キーワードシリルラジカル / フリーラジカル
研究概要

本年度は安定なシリルラジカルとしてトリス(トリイソプロピルシリル)シリルラジカルを単離し、構造を決定し、性質を調べた。
トリス(トリイソプロピルシリル)クロロシランをヘプタン中、ナトリウムで還元すると、トリス(トリイソプロピルシリル)シリルラジカルが黄色の結晶として67%の収率で得られた。X線結晶構造解析の結果、シリルラジカル中心の回りの3つのケイ素-ケイ素-ケイ素結合角の和は359.99°であり、平面構造をとっていることがわかった。以前に、ESRによる測定結果からこのシリルラジカルの中心ケイ素は平面構造をとっていることが予測されており、今回の結果はその予測が正しかったことを示している。また、シリルラジカル中心間の距離は8.70、10.44、11.59Åと大きいため、相互作用はなく、このシリルラジカルはフリーラジカルであることがわかった。
このシリルラジカルの分子軌道計算からSOMOのローブはほとんど中心ケイ素上にあり、ESRパラメータの解析からの結果と一致している。従って、このシリルラジカルは不対電子の非局在化によって安定化されているのではなく、かさ高いトリイソプロピルシリル基によって速度論的に安定化されている。
また、このシリルラジカルは芳香族炭化水素存在下で大きな安定化を受けることがわかった。このシリルラジカルの半減期はヘプタン中、室温で4日であるが、この溶液にナフタレン、フルオレン、トリフェニルメタンなどの芳香族炭化水素が共存すると、半減期は1.5〜3か月に延びる。これはシリルラジカルの不対電子と芳香族炭化水素のπ共役系の相互作用によって、シリルラジカル中心の回りが立体的に保護され、安定性が著しく増大するためと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Ryoji Tanaka: "Chiral Crystallization of anti-Dodecaisopropyltricyclo[4.2.0.0^<2,5>]octa-silane"Enantiomer. 7. 157-159 (2002)

  • [文献書誌] Soichiro Kyushin: "Ladder Polysilanes"Advances in Organometallic Chemistry. (発表予定). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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