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2003 年度 実績報告書

三重項多核芳香族カルベンの安定化

研究課題

研究課題/領域番号 14540493
研究機関三重大学

研究代表者

平井 克幸  三重大学, 生命科学研究支援センター, 助教授 (80208793)

キーワードジアゾ化合物 / 三重項カルベン / レーザー光分解 / 立体保護 / アントリル基 / 電子スピン共鳴
研究概要

元来極めて不安定な化学種である三重項カルベンが他の閉殻分子と同様に室温でも簡便に取り扱え、有機新素材として利用可能にすることを目的として、化学修飾による三重項多核芳香族カルベンの安定化を試みた。
三重項ビス{9-[10-(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル)フェニル]アントリル}カルベンは4個のペリ位水素がカルベン中心を立体的に保護しているだけでなく、不対電子がアントリル基の共鳴効果によって熱力学的にも安定化され、更に(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル)フェニル基が10位からの反応を抑制しているため、室温脱気ベンゼン中では半減期2日の長寿命カルベンであるが、このカルベンは二次減衰を示し、カルベン中心での二量化反応が完全には抑制されていないと考えられる。従って、このカルベン中心での反応を完全に抑制できれば永続的に安定な三重項カルベンが得られるものと考えられる。
1.先駆体ジアゾ化合物の合成:カルベン中心での二量化反応を完全に抑制する目的でアントリル基の2,7位に4つのブロモ基を有するカルベンの前駆体ビス{9-[2,7-ジブロモ-10-(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル)フェニル]アントリル}ジアゾメタンを合成した。
2.ESRスペクトルによる観測:77K、2MTHF中上記ジアゾ化合物の光分解を行ったところ、300Kまで観測できる安定な三重項カルベンが異性体混合物として観測された。
3.低温でのUV/visスペクトルによる観測:77K、2MTHF中上記ジアゾ化合物の光分解を行ったところ、300Kまで観測できる三重項カルベンが観測された。
4.カルベンの寿命測定:室温脱気ベンゼン中上記ジアゾ化合物のレーザー光分解は三重項カルベンを発生し、このカルベンの半減期が6.5分と通常の三重項カルベンに比べて長寿命であるが、母体カルベンに比べて非常に短寿命であることが示された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Eri Iwamoto: "A Triplet Carbene Surviving a Week in Solution at Room Temperature"Journal of the American Chemical Society. 125・48. 14664-14665 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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