研究課題
基盤研究(C)
本研究では、剛直な不飽和シクロファン型化合物をいくつか設計し、これを合成してその共役系に由来する特徴的な電子的性質やその剛直なキャビティーを利用したホストゲスト化学などについて明らかにすることを目的として研究を行った。大環状骨格を有するベンズアヌレン型化合物の場合、分子のサイズは大きいものの、骨格がフレキシブルであるため、分子空孔に芳香環が入り込んだ構造を取ることが明らかとなった。ここでは三つのベンゼン環がC_3対称型に集まることによってCH-π型の相互作用が協同的に起こったためにこの構造が安定であったものと結論された。当初設計した化合物のうち、不飽和デルタファン型化合物は8員環構造を持つために還元されやすい化合物であり、そのアニオン種は興味深い電子的性質を持つことが理論計算から明らかとなった。この化合物の合成に関しては大環状骨格を形成した後、8員環骨格形成を行うという方法論で検討したが、現在までのところ達成できていない。しかしながら、その合成検討の中でいくつか有用な合成反応を見出し、他の不飽和シクロファン化合物の合成に適用した。とくに、C_<3v>対称性を持つ剛直な不飽和シクロファンであるall-Z-トリベンゾ[12]アヌレン誘導体と、その関連化合物について効果的な合成法を開発し、興味深い構造を持った不飽和シクロファン合成に応用した。なかでも、フェナントレン骨格で囲まれたその性質について明らかにした。以上のように剛直な三次元の共役系を持つ新規な有機化合物の性質に対していくつか興味深い知見を得ることが出来た。フラーレンやカーボンナノチューブに代表される三次元の炭素共役系は材料としての応用が期待されている物質群であり、ここで見出された化合物群についても材料への応用といった観点から期待される。
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