研究概要 |
1.交差共役ヘテロトリエンのジエン伝達ヘテロデイ-ルス-アルダー反応 (1)交差共役アザトリエンの反応 基質である3-イミノ-1,4-ペンタジエンの1,4位の置換基を,1-モノメチル基や1,1-ジメチル基,4-エトキシカルボニル基をもつ非対称アザトリエンにまで拡張でき,第1のDiels-Alder反応におけるジエノフィルもトシルイソシアナートに限られていたものがジフェニルケテン,ジメチルケテン,ジクロロケテンにまで拡張できた。また,窒素上の置換基にスルホニル基をもつ交差共役アザトリエンとビニルスルフィドとの逆電子要請型Diels-Alder反応を第1の反応に適用できることも明らかにした。また,新たな交差共役アザトリエンであるN-置換-4-フェニル-3-フェニルメチレン-1-アザ-1,4-ペンタジエンのジエン伝達ヘテロDiels-Alder反応についても開拓することができた。 (2)交差共役ジオキサトリエンの反応 従来の交差共役ジオキサトリエン(2-置換メチレン-プロパンジアール)のアリール基の代わりに,アセトキシル基,ベンゾイルオキシ基,ピバロイルオキシ基,ベンゾイルアミノ基に替えた交差共役ジオキサトリエンのジエン伝達ヘテロDiels-Alder反応についても発展させることができた。 2.官能基化されたカルボジイミドの環化反応による含窒素複素環合成 (1)分子内ヘテロDiels-Alder反応 ベンゼン環の隣接位にプロピノイル基をもつカルボジイミドをイミノホスホランとイソシアナートとのアザWittig反応により発生させた後,単に110℃程度に加熱するだけで芳香族C=C結合とクムレンN=C結合を2-アザジエンとした分子内Diels-Alder反応が容易に起こりキノリノ[2,3-b]キノリノンを与えた。 (2)Pauson-Khand反応 アセチレン部位を分子内にもつカルボジイミドとMo(CO)_6との分子内Pauson-Khand反応によりピロロピロリノンやピロロインドリノンを与える新しいHeterocumulenic Pauson-Khand反応を開発することができた。
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