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2002 年度 実績報告書

強いπ供与性架橋配位子により新奇な電子配置を有するランタン型複核錯体

研究課題

研究課題/領域番号 14540513
研究機関岐阜大学

研究代表者

海老原 昌弘  岐阜大学, 工学部, 助教授 (80201961)

研究分担者 川村 尚  岐阜大学, 工学部, 教授 (40026125)
キーワードルテニウム / 金属-金属間結合 / ランタン型複核錯体 / 電子状態 / 酸化還元電位 / 磁化率 / X線結晶構造
研究概要

ランタン型ルテニウム複核錯体はRu_2^<5+>の酸化状態のものが最も多く報告され,また,この酸化状態のものは1つを除いてすべてσ^2π^4δ^2δ^*π^<*2>の電子配置をとることが知られている.本研究では強いπ供与性架橋配位子をもつ錯体を合成し,その電子状態について検討した.
[Ru_2(OAc)_4Cl]と4,5-dimethyl-2-methylaminothiazole (Hdmat)を封管中135℃で反応させ[Ru_2(dmat)_4Cl](1)を得た.また,1を電解酸化することにより,[Ru_2(dmat)_4Cl]PF_6(2)を得た.X線構造解析の結果,1及び2はdmatがすべて同じ向きに配位し,1のRu-Ru距離は2.4317(9)Åで既知の【Ru_2(L)_4Cl】型錯体の中で最も長く,その1電子酸化体2のRu-Ru結合距離は2.3326(9)Åで,1電子酸化によって約0.1Å短縮している.Evans法を用いた磁化率測定で1,2の有効磁気モーメントμ_<eff>はそれぞれ1.7BM,2.89BMで,このことから1の不対電子は1つ,2の不対電子は2つであると考えられる.1,2の不対電子数はそれぞれ,1,2であり,1から2への酸化により不対電子数が増加することは,不対電子軌道(SOMO)が縮重したπ^*軌道であることを示している.2では配位子のπ系と金属原子間δ^*軌道との強い相互作用によるδ^*軌道の不安定化が起こり電子はδ^*に入ることができずπ^<*3>となっていると考えられ,このπ^*軌道から電子が1つ抜けるために1から2へのRu-Ru距離の大きな短縮がおこると考えられる.ルテニウム複核錯体では1以外にRu_2^<4+>錯体[Ru_2(CH_3C_6H_4NNNC_6H_4CH_3)_4(MeCN)]のπ^*軌道から電子が抜けるときRu-Ru距離が約0.03Å短縮される例があり,このことから同じπ^*軌道から電子が抜ける場合でも,分子構造の違いによってその変化の度合いは大きく異なることがわかった.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Masahiro Ebihara: "Diruthenium complexes with aminothiazolato ligand. X-ray and electronic structures of [Ru_2(dmat)_4Cl]^<0/+>(dmat=4,5-dimethyl-2-methylaminothiazolato)"Inorganica Chimica Acta. (印刷中). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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