研究概要 |
前年度に引き続きアミノチアゾラート架橋ランタン型ルテニウム複核錯体,および,ロジウム複核錯体について研究を行った. [Ru_2(OAc)_4Cl]と4-methyl-2-methylaminothiazole (Hmmat)を封管中135℃で反応させ[Ru_2(mmat)_4Cl] (3)を得た.X線構造解析の結果,3は[Ru_2(dmat)_4Cl](Hdmat=4,5-dimethyl-2-methylaminothiazole 1)とほぼ同じ構造をしておりRu-Ru距離は2.4302(6)Åで1とほぼ同じ距離であった.この錯体は一般的な有機溶媒への溶解度が著しく悪く,これ以上の研究は行えなかったが,Ru-Ru距離より1と同じσ^2π^4δ^2π^<*3>の電子配置であると考えられる.1をLiCCPhと反応させることによりアキシャル位にアルキリジンの配位した錯体[Ru_2(dmat)_4(CCPh)] (4)を得た.この錯体のRu-Ru距離は2.4697(9)Åで1の2.4317(9)Åと比べて約0.3Å長くなっていた.アキシャル配位子をClからCCPhに変えたときのRu-Ru距離の伸長は,電子配置がσ^2π^4δ^2δ^*π^<*2>の他のルテニウム複核錯体に見られるのと同程度であり,電子配置の違いによる差異は見られなかった.また,4の酸化電位は1のものより約0.1V負側にシフトしており,他の錯体で見られる差(0.2-0.3V)に比べて小さくなっていた. [Rh_2(OAc)_4Cl]とHdmat,およびHmmatを反応させてみたが錯体を単離することはできなかった.
|