研究概要 |
新規スプラ錯体構築の為の戦術として、(1)オーロフィリシティーおよびその強さの制御、(2)配位結合の次元制御を検討した。前者はAu錯体、後者はMn錯体を主にベースとして用いた。 《成果》(1)Au錯体;1.RP-Au-X型錯体において、Xをメルカプトピリジンに置換することでオーロフィリシティーとその強さを制御できることを示した。また(2-S-py-Au)_2(trans-dpen)(1)においてオーロフィリシティーが強く発現すること、これがピリジン…H-C=相互作用によることを初めて示した。 2.[(RPAu)_3S](X)_2型クラスターにおいて、対アニオンX選択することで[(RPAu)_3S]^+クラスター間のAu-Au相互作用の有無、個数を制御できることを初めて示した。この発見はAuクラスターをナノ粒子として高密度担持する手法の開発につながる重要な成果である。 3.4-メルカプトピリジンを組み込んだRP-Au-SR^1を"complex as ligand"としてCr, Cuのacac錯体と反応させ、ヘテロ複核Au錯体を合成した。これらのスプラ錯体はAu単核錯体には見られをい発光挙動を示した。 4.Ru-(bpy)とo-phen-Au-LからRu_mAu_n(bpy)_x(o-phen)_yなるAu-Ruヘテロ複核錯体の合成に成功した。最大の組み合わせでAu_4Ru_3まで合成した。これらの複核錯体はAuサイトで励起するとRuサイトから発光する。また金属数が増加するほど発光が短波長にシフトする事が判明した。 (2)Mn錯体;1.配位高分子。これまで配位子としてほとんどもちいられてこなかったピリジンメタノールを採用することで各種のMn配位高分子の構築に成功した。 2.単分子磁石。ピリジンメタノールとMnイオンから世界最小の単分子磁石であるMn_4(pz)_4(pyMOH)_4(NO3)_<10>なるクラスターの合成、X-線構造解析、磁性解析に成功した。
|