キラルなキャビティーを有するテトラアザ[14]アヌレン金属錯体の合成と分子認識

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540517
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 坂田 一矩 九州工業大学, 工学部, 教授 (50037991)
• キーワード: テトラアザ[14]アヌレン / キャビティー / キラル / ストラプト型 / 取り込み / 分子認識 / 旋光度 / アミノ酸

研究概要

1.キラルなピンセット型テトラアザ[14]アヌレン及びニッケル(II)錯体の合成
テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)錯体と反応させる場合にアミノ酸の保護基としてBoc基を用い、またメタルふりーの場合にはZ基を用いて、縮合反応を行った。前者はトリフルオロ酢酸で、後者はパラジウムーカーボンにより脱保護を行い、4種類のピンセット型化合物を満足の行く収率で得た。IR、NMR、MSスペクトル等よりその生成を確認した。
2.キラルなキャビティーを持つテトラアザ[14]アヌレン及びニッケル(II)錯体の合成
合成した4種類の化合物と2,6-ピリジンカルボン酸クロリドを希釈条件下で反応させ、キラルなストラプト型化合物を満足の行く収率で得た。これらの化合物は、IR、NMR、MSスペクトル等よりその生成を確認した。
3.ピンセット型化合物と金属イオンとの錯化挙動
4種類のピンセット型化合物は、亜鉛(II)や銀(I)イオンと錯形成をすることが分かった。その際、ニッケル(II)錯体では、電子スペクトルやNMRスペクトルの変化はっほとんどなく、メタルフリーでは大きいスペクトル変化が観測された。これは、錯形成により骨格に歪みは生じたためと考えている。
4.アミノ酸輸送
U字型の輸送装置で、水相にフェニルアラニン等を入れ、クロロホルム相を輸送膜として、10時間後のアミノ酸の輸送率を測定した。触媒として使用したキラルなストラプト型化合物は、キラルなピンセット型化合物と比較して、剛直な構造を取っているため、不斉の部分が大きく関与し、D体とL体で輸送率に大きな差が出たと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Kazunori Sakata: "Synthesis and spectral properties of iron(II), copper(I), silver(I), and palladium(II) of a bidentate diisonitrile"Synth.React.Inorg.Met.-Org.Chem.. 33(1). 11-22 (2003)
• [文献書誌] Xuan Shen: "Syntheses, characterization and crystal structures of diamine-bridged dinuclear 5,14-dihydro-6,8,15,17-tetramethyldibnezo[b,i][1,4,8,11]tetraazacyclotetradeinatozinc(II) complexes"Polyhedron. 22(4). 529-534 (2003)
• [文献書誌] Akihiko Tsuge: "Preparation and structural properties of novel fluorenophanes"Chem.Lett.. 32(8). 776-777 (2003)
• [文献書誌] Xuan Shen: "Crystal structure of a dinuclear 1,2-bis(diphenylphosphinooxide)ethanebridged (6,8,15,17-tetramethyldibenzo[b,i][1,4,8,11]tetraazacyclotetradecinato)zinc(II) Complex"Anal.Sci.. 19(11). x49-x50 (2003)
• [文献書誌] Yasuhiro Tanoue: "Synthesis of 7,10,20,23-tetramethoxy-1,5,14,18-tetraoxa[5,5](1,4)-naphthalenophane and its structure"ITE Lett.Batt.Tech.Med.. 4(6). 802-805 (2003)
• [文献書誌] Xuan Shen: "Synthese, characterization, and crystal structures of two trans six-coordinate germanium(IV) complexes of H_2tmtaa (5,14-dihydro-6,8,15,17-tetramethyldibenzo[b,i][1,4,8,11]tetraazacyclotetradecine)"Synth.React.Inorg.Met.-Org.Chem.. 34(2). 207-218 (2004)