研究概要 |
1)キラルなピンセット型テトラアザ[14]アヌレン及びニッケル(II)錯体の合成… テトラアザ[14]アヌレンニッケル(II)錯体と反応させる場合に、アミノ酸の保護基としてBoc基を用い、またメタルフリーの場合にはZ基を用いて縮合反応を行った。前者はトリフルオロ酢酸で、後者はパラジウムカーボンにより脱保護を行い、4種類のピンセット型化合物を満足の行く収率で得た。IR、NMR、MSスペクトル等よりその生成を確認した。 2)キラルなキャビティーを持つテトラアザ[14]アヌレン及びニッケル(II)錯体の合成…この4種類の化合物と2,6-ピリジンジカルボン酸クロリドを希釈条件下で反応させ、キラルなストラプト型化合物を満足の行く収率で得た。これらは、IR、NMR、MSスペクトル等よりその生成を確認した。 3)ピンセット型化合物と金属イオンとの錯化挙動…4種類のピンセット型化合物は、亜鉛(II)や銀(I)イオンと錯形成をすることが分かった。その際、ニッケル(II)錯体では、UV及びNMRスペクトルの変化はほとんどないが、メタルフリーでは大きいスペクトル変化が観測された。これは、錯形成により骨格に歪みは生じたためと考えている。 4)アミノ酸輸送…U字型の輸送装置で、水相にフェニルアラニン等を入れ、クロロホルム相を輸送膜として10時間後のアミノ酸の輸送率を測定した。触媒として使用したキラルなストラプト型化合物は、キラルなピンセット型化合物と比較して、剛直な構造を取っているため、不斉部分が大きく関与し、D体とL体で輸送率に大きな差が出たと考えられる。
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