研究概要 |
新規な電子配置(d_<xz>,d_<yz>)^3(d_<xy>)1(d_z2)^1を有する中間スピン-ポルフィリン鉄(III)錯体の合成と性質: a)純粋な中間スピン錯体の合成:新たに合成したラッフル型ポルフィリン鉄(III)錯体[Fe(TEtPrP)(THF)_2]ClO_4(1)が純粋な中間スピン錯体であることをEPR, Moss-bauer, SQUID,^1H NMRなどの測定により明らかにした。 b)meso位が^<13>Cでenrichされた1(meso-^<13>C)の合成:カルボニル基が^<13>Cでenrichされたギ酸エチルを出発原料に用いてポルフィリン鉄(III)クロリド錯体[Fe(TEtPrP)Cl](meso-^<13>C)を合成した。このクロリド錯体に過塩素酸銀のTHF溶液を1.0当量加え1(meso-^<13>C)に変換した。 c)1(meso-^<13>C)の^<13>C NMRスペクトル:ジクロロメタン溶液中、40℃から-80℃まで温度を変えて1(meso-^<13>C)の^<13>C NMRスペクトルを測定したところ、温度の低下に伴いシグナルが190ppmから90ppmまで徐々に高磁場シフトを示した。この値は既に報告した純粋な中間スピン錯体(δ-100〜-300ppm)とは著しく異なる。従って、1が目的とする新規な電子配置(d_<xz>,d_<yz>)^3(d_<xy>)^1(d_z2)^1を有する中間スピン-ポルフィリン鉄(III)錯体である可能性が強まった。この新規錯体の性質をさらに詳細に検討する予定である。
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