研究概要 |
アルゴンや窒素などは化学的に不活性であるが、分極した部分に近づくとそれ自身に分極が誘起され双極子モーメントを持つようになり、静電的な引力が生じると考えられる。固体酸の表面で最も強く分極しているのは酸点であるといえるため、酸点とアルゴンや窒素の誘起双極子との間に静電的な相互作用が生じ、形としては酸塩基的相互作用(プロトン酸の場合は水素結合)が生じると考えられる。また、この強さは分極の様子、つまり酸強度に依存すると言える。 本研究ではプロトン型のモルデナイト、ベータ、ZSM-5ゼオライト、硫酸化ジルコニア、シリカ-アルミナ、等を試料として、アルゴンの吸着をヘンリー型と考えて吸着熱を測定する方法を試み,吸着熱も酸強度の指標となることを示した。 吸着等温線は実際にはヘンリー型ではなく算出される吸着熱も飽和吸着量の変化を無視した近以値であることから、さらに詳細な検討を行い、吸着をラングミア型として算出された吸着熱が酸強度を表すこと,飽和吸着量は酸量と関係すること,吸着温度による吸着熱の変化と細孔経に関係があることを見出した。 酸点の酸強度分布を明らかにする目的で、吸着等温線に対しクラジウス-クラペイロン式を適用し、吸着量に対する吸着熱の変化を、吸着ガスをアルゴンと窒素として比較したところ、アルゴンを執着ガスとした場合、酸強度分布を明らかにできること、窒素がルイス酸に対して非常に強く吸着することから、窒素とアルゴンの吸着熱の比較でブレンステッド酸とルイス酸を区別できることを明らかにした。
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