研究概要 |
光合成系・呼吸系などでは、わずか膜厚4nmの絶縁体である二分子膜に高速電子伝達系を組み込み、NADH合成、ATP合成等重要な機能を果たしている。ナノスケールで機能するエレクトロニクス素子材料を開発するためには、この高速電子伝達機能が必要である。本研究の目的はこの高速電子伝達系を設計・構築することであるが、従来の二分子膜系に合成電子伝達系を埋め込み、外水相から還元剤を添加して、内水相側の電子受容体のスペクトル変化速度を追跡する手法では、2つの界面反応を含むため、電子伝達系自身の性能の適切な評価には限界があった。 本研究では,伝導度AFMによる直接測定を目指している.伝導度AFMによる分子の伝導度測定法は確立されていない新しい手法なので.まず平成14年度は従来法であるマイクロギャップ間の伝導度測定を行った.具体的にはビスイミダゾリルポルフィリンにガリウムイオンを導入して調製した.ビスイミダゾリルポルフィリンガリウム錯体はガリウムポルフィリンが6配位をとるため.ガリウム-イミダゾール間の配位結合により複数のポルフィリンが1次元の連鎖体を形成する.MALDI-TOF質量分析,UV-Vis吸収スペクトル,x線回折などにより構造を決定し,AFMにより組織体を観測した.ガラス基板上に作製したマイクロギャップ電極状にビスイミダゾリルポルフィリンガリウム連鎖体を載せ,電極間の伝導度を暗時と光照射時で測定した.その結果,この連鎖体は暗時でも半導体レベルの導電性があり.また光照射時に伝導度が8倍上昇したことがわかった.次年度は伝導度AFMを利用してこの測定を行う予定である.
|