研究概要 |
本研究はナノ半導体微粒子の分光研究の興味深いナノ構造のホストとして、ゾルゲル法により合成されるnmの細孔を持つゾルゲルシリカガラスおよびSiO_2をベースとする分子ふるいMCM41を選択し、つぎの研究を目的とする。(a)希土類(III)イオンをドープした半導体ナノ結晶(Zn, Cd)S : RE(III)(RE=Tb^<3+>,Eu^<3+>etc)をナノポーラス母体を用いて合成し、サイト選択時間分解蛍光スペクトル、ルミネッセンススペクトル、寿命およびそれらの温度変化を測定し、バルク結晶の場合とNCの結果を比較し、電子状態の違いを解明する。(b)発光特性評価より、量子閉じ込め効果を利用したナノ構造蛍光体を開発することである。成果は4点である。(1)希土類イオンをドープさせた半導体CdSを含有する、未仮焼および仮焼処理した分子篩MCM41で、結晶場分裂及びサイトの存在を検討し、通常の酸化物で見られない禁制遷移(J=0←>J=0)がナノ構造体でサイズ効果により許されることを見出した。(2)Eu^<3+>イオンと他の希土類イオン間との励起エネルギー移動を発光スペクトルおよび発光寿命曲線より解析し、このようなナノポーラス構造ガラスに坦持された希土類(III)イオンのトラップ律速移動機構を明らかにした。(3)ガラスをN_2レーザーおよびYAG : Ndレーザー励起ピコ秒色素レーザーで光励起し、発光および寿命減衰を室温から20Kの温度範囲で測定し,400psの速い寿命過程を見出した。(4)sol-gel SiO_2/ZnS : Cu, Alを初めて合成し、10nsの高速寿命をもつ実用蛍光体の開発への足掛かりを報告した。
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