研究課題
基盤研究(C)
除草剤や殺虫剤などの農薬、高分子用可塑剤、ノニルフェノールなど合成洗剤の原料などは内分泌かく乱物質で、動物などの生態系に深刻な影響を及ぼしている。一般に水に溶解せず、油溶性または脂溶性である。これらの化合物の化学構造に対する二酸化チタンによる光酸化速度や無機化過程などの無害化について明らかにした。半導体触媒による有機化合物の光酸化反応は、触媒表面への有機化合物の吸着や脱着の挙動が反応速度や分解効率を支配する。しかし、吸着を直接経時的に測定することは難しく、TiO_2薄膜表面の動的吸着挙動についての研究は行われていない。そこでピエゾ効果を持つ水晶振動子表面にTiO_2を固定化し、これをセンサーとして利用する実験を行った。光照射によりTiO_2薄膜表面に吸着された基質は、分解が進行すると水溶液バルクに移動するが、また分解中間体等がTiO_2薄膜に再度吸着する。このため、高触媒活性のTiO_2固定化薄膜を作成することが重要なキーポイントである。複雑な化学構造のものが多いので、その分解メカニズムを解明することは意義がある。例えばビスフェノールAの化学構造に対して、どの部位をOHラジカルが攻撃するか(Frontier electron densityの電子密度が高い部位)また、どの様な分解過程で反応が進行するかを実験結果と理論的計算との比較により調べた。また分解する基質の触媒表面への吸着挙動のpartial chargeの計算を行った。真空または空気中での理論計算より水溶媒中の計算ではマイナス電荷は大きな値を示す。またプラス電荷はより小さい値が得られる。実際の実験値とこれらの理論的計算を比較し、分子化学構造から分解メカニズムの推察を行った。光触媒TiO_2によっても分解が困難な物質(例:フッ素系化合物やシアヌール酸)の迅速な酸化促進の実験要因を検討した。
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