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2004 年度 実績報告書

キラル非対称な化合物の鏡像異性体の一方のみを定常的に生成し続ける開放化学系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14540548
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

朝倉 浩一  慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222574)

キーワードキラル対称性の破れ / キラル自触媒 / 開放化学系 / 結晶成長フロント / 1,1-ビナフチル / 不斉増幅 / 非線形動力学モデル / Michaelis-Menten型中間体
研究概要

本研究計画の最終年度に当たる本年度も、一昨年度及び昨年度に引き続いて
1)1,1'-ビナフチルの過冷却融液中からの結晶化における自発的キラリティーの発現
2)不斉アミノアルコールを触媒補助剤とした不斉合成反応における不斉増幅現象
の2つの化学系を対象として研究を行なった。
1)については、過冷却融液中で成長している1,1'-ビナフチル結晶相の成長フロントという開放化学系において、キラル対称性の破れ転移が起こり、その結果として自発的にキラリティーが発現したことが実験的に予想された。そこで、そのメカニズムを説明するための非線形動力学モデルを作成し、安定性解析およびシミュレーションにより検討を行なったところ、キラル自触媒的過程の速度が他の過程よりも速くなることで、ラセミ的環境がゆらぎに対して不安定化し、キラル対称性の破れ転移が起こることが確認された。
このように、結晶成長フロントという開放化学系においてキラル対称性の破れは可能であることが、実験的にも理論的にも解明されたが、本研究の最終目標は、有機化学反応系においてKondepudi及びNelsonにより提唱されたキラル対称性の破れのモデル(D. K. Kondepudi, G. W. Nelson, Nature, 1985, 314, 438)に対応するキラル対称性の破れ転移を実験的に実現させることである。その候補としては、Soaiらにより提唱されたキラル自触媒反応(K. Soai, et al., Nature, 1995, 378, 767)があるが、2)の化学系は関与する分子がこのキラル自触媒反応と非常に類似している。そして、この不斉増幅が起こる機構を検討したところ、Michaelis-Menten型の中間体が存在することが予想された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Kinetic Model for the Chiral Symmetry Breaking Transition in the Growth Front of a Conglomerate Crystal Phase2005

    • 著者名/発表者名
      K.Asakura, Y.Nagasaka, S.Osanai, D.K.Kondepudi
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry B 109・4

      ページ: 1586-1592

  • [雑誌論文] A New Perspective on the Mechanism of Asymmetric Amplification2005

    • 著者名/発表者名
      K.Asakura, T.Yamamoto, S.Inoue, S.Osanai.D.K.Kondepudi, T.Yamaguchi
    • 雑誌名

      Chemical Physics Letters 406

      ページ: 312-317

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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