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2003 年度 実績報告書

フラーレン類に対する超高圧溶媒の特異性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14540550
研究機関立命館大学

研究代表者

澤村 精治  立命館大学, 理工学部, 教授 (10167439)

キーワードフラーレン / 高圧力 / 溶解度
研究概要

まず、溶媒としてトルエンを用い、C60の高圧溶解挙動を詳細に調べた。そのために数ヶ月の長期間安定した圧力制御を行えるように高圧装置の改良を種々検討した。最終的に、圧力シール材のo-リングを支えるバックアップリングとしてタフピッチ銅を焼鈍させたものを0.01mmの隙間でシリンダに入れ込んだ構造を用いる手法を開発した。結果として得られたトルエン中のC60の溶解度(x/モル分率)-圧力-温度曲面は相転移を示唆する折れ曲がりをともなうことが明らかとなった。その値(x/モル分率)は次式のとおりである。
In x=+5.087-8.426x10^<-3>(p/MPa)-15.385x10^<-6>(p/MPa)^2(高圧・低温側)
In x=-10.9612+943.88/(T/K)+[26/(T/K)-0.0724](p/MPa)(低圧・高温側)
続いてヘキサン溶媒中での溶解度曲面を描くべく測定を行い、同様に相転移を示唆する結果が得られたが、その高圧側では、トルエンの場合溶解度が減少したのに対し、さらに増加することが明らかになった。このことは常圧下で知られている、両溶媒中での溶媒和結晶の構造が体積的に見てかなり異なることを示唆している。
一方でC70についてもトルエン、ヘキサン中での高圧溶解度の測定を温度一定(25℃)で行ったが、いずれも一方的に溶解度が増加する傾向が見られた。なお、相転移の有無について言及できるほど明確な溶解度曲線の折れ曲がりは見られない。
C60は疎水性のために水にはほとんど溶けない。この疎水性の高圧挙動を調べるために炭化水素の高圧溶解挙動から、高圧力下の疎水性についても調査し、100MPa以上の高圧下では、常圧で言われる疎水性水和の特徴は消えてしまうことを明らかにした。
以上フラーレンの溶液中での高圧挙動に関する測定から、溶媒の種類、圧力を制御することによって、フラーレン類の溶解・析出・反応を巧妙に行うことができることが明らかになった。また水の中でも、常圧と200MPa以上の高圧ではフラーレンの水に対する性質が異なるため、高圧力下での溶解,析出・反応について新しい展開が望めることが明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] H.Matsuo, Y.Suzuki, S.Sawamura: "Solubility of a-amino acids in water under high pressure glycine, L-alanine, L-valine, L-leucine, and L-isoleucine"Fluid Phase Equilibria. 20(2). 227-238 (2002)

  • [文献書誌] 澤村精治, 松尾博史: "体積の立場から見た疎水性水和"高圧力の科学と技術. 13(2). 157-164 (2003)

  • [文献書誌] S.Sawamura: "Volumetric Properties of Hydrophobic Hydration under High Pressure"Proc.Int.Symp.ortable Synchrotron Ligh Sources and Applications (Amer.Inst.Phys.). (2004)

  • [文献書誌] 澤村精治: "9・6・2章 固体の溶解度"化学便覧 基礎編 改訂5版(日本化学会). (2004)

  • [文献書誌] 澤村精治: "11・3章 流体圧力の発生と圧力測定"実験化学講座第5版. 第6巻. (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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