モリブデン(VI)-バナジウム(V)複合配位子による分離分析化学の高度化

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540558
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 姫野 貞之 神戸大学, 理学部, 教授 (30031363)
• キーワード: モリブデン酸イオン / タングステン酸イオン / ポリオキソメタレート

研究概要

水溶液中および水-有機混合溶楳中におげるタングステン酸イオンとバナジウム酸イオンの縮合反応を検討した。反応場を従来の水溶液系から水-有機混合溶媒系に拡大した結果、W(VI)反応試薬の縮合条件が水溶液系と異なることを見出し、これまで報告例のないケギン型タングストバナジン酸錯体および三元タングストバナジン酸錯体を合成単離することができた。それにより、モリブデン(VI)-バナジウム(V)複合配位子と各種酸素酸イオンとの錯生成に最適な溶液条件を系統的にまとめることができたので、ポリオキソメタレート生成反応の分離分析化学への応用が可能となった。
まず、ポリオキソメタレート生成反応をキャピラリー電気泳動法に適用した。モリブデン酸イオンを配位子とする新規分析法の開発を目指し、P(V)、As(V)の同時定量法およびAs(V)、As(III)の酸化数別状態分析法などを確立した。また、W(VI))-P(V)配位子によるSb(III)、Bi(III)の高感度同時定量法を開発した。また、スタッキング効果により極微量濃度の縮合タングステン酸イオン種の分離に成功し、反応に及ぼす酸濃度、反応温度、反応時間および有機溶媒の効果を明らかにした。その結果、従来、高濃度条件下でしか測定できなかった縮合タングステン酸イオンの生成および変換反応を明らかにすることができた。

研究成果

• [文献書誌] M.Takamoto: "Solvation-effect of Li^+ on the voltammetric properties of [PMo_<12>O_<40>]^<3-> in binary solvent mixtures"J.Electroanal.Chem.. 521. 132-136 (2002)
• [文献書誌] K.Sano: "Capillary electrophoretic determination of As(V) and As(III) based on the formation of a Keggin-type [AsMo_<12>O_<40>]^<3-> complex"J.Sep.Sci.. 25. 438-442 (2002)
• [文献書誌] S.Himeno: "Simultaneous capillary electrophoretic separation and detection of P(V) and As(V) as heteropoly-blue complexes"J.Chromatogr.A. 966. 213-219 (2002)
• [文献書誌] S.Himeno: "Preparation and voltammetric characterization of Keggin-type [VW_<12>O_<40>]^<3-> and [V(VW_<11>)O_<40>]^<4-> complexes"Inorg.Chim.Acta. 348. 57-62 (2003)
• [文献書誌] S.Himeno: "Simultaneous capillary electrophoretic determination of Sb(III) and Bi(III) based on the complex-formation with a W(VI)-P(V) reagent"Talanta. 61. 591-596 (2003)
• [文献書誌] S.Himeno: "Capillary electrophoretic study on the formation and transformation of isopolyoxotungstates in aqueous and aqueous-CH_3CN media"Inorg.Chim.Acta. 355. 81-86 (2003)