研究課題/領域番号 |
14540567
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
沓掛 和弘 岡山大学, 理学部, 教授 (90143362)
|
研究分担者 |
伊豫田 淳 国立感染症研究所, 細菌第一部第一室, 主任研究員 (70300928)
|
キーワード | サルモネラ / 鞭毛レギュロン / シグマ因子 / 転写調節 / 抑圧突然変異 / トランスポゾン / リポプロテイン / 定常期 |
研究概要 |
サルモネラ鞭毛レギュロンはRpoSによって定常期特異的に負に制御されている。本研究は、この制御系に関与する因子を同定することを目的として行われた。 1.突然変異体単離のための条件の検討 本研究では、突然変異体を単離することによって関与因子の遺伝子を同定する方法をとる。RpoSの作用は定常期特異的であるため、通常の培養ではその表現型を検出しにくく、突然変異体の単離は困難である。そこで、対数増殖期でもRpoSの効果を充分検出できる条件を検討し、最少培地での培養によってそれが達成されることを見出した。 2.突然変異体の単離 野生型RpoS存在下では、鞭毛遺伝子fliAとlacZの融合体をもつ菌株はラクトース最少培地での増殖能が低いことを確認した。これを親株として用いてトランスポゾンTn5による突然変異誘発を行い、ラクトース最少培地での増殖能が増大する突然変異体を多数単離した。それらについて、ラクトース利用能がTn5と100%連鎖しているものをスクリーニングし、RpoS効果の抑圧突然変異体として1株の候補株を得た。 3.突然変異遺伝子の決定上記の突然変異体から染色体DNAを抽出し、Tn5挿入点近傍のDNAを逆PCR法により増幅した。この増幅産物について塩基配列を解析し、挿入点がnlpC遺伝子内であることを決定した。周辺領域の構造から推定すれば、nlpC遺伝子はその下流の遺伝子とオペロンを作っているとは考えられないので、nlpC遺伝子自身の欠損がRpoS効果を抑圧しているものと結論される。 4.今後の予定 nlpC遺伝子はリポプロテインをコードしていると推定されるので、これが直接遺伝子発現制御に関わっているとは考えにくい。したがって、これとRpoS制御との間にはさらに未同定の因子が存在するものと推定される。今後は、これらの因子をすべて同定し、この制御系の全体像を解明する予定である。
|