研究課題
基盤研究(C)
構成生物種のごく一部である優占種に着目した従来の生態系の理解は、正しさが疑問である。したがって、全構成生物種を対象とした生態系の理解を行って、これまで得られた知見の検証が必要である。そこで、本研究では比較的小さな空間規模で均一性が成り立ち、生物種と生物量並びに食物連鎖関係が把握しやすい水界生態系に着目して、外洋の熱帯・亜熱帯・亜寒帯の外洋浮遊生態系を対象として研究を行った。それぞれの生態系内のプランクトン生物を可能な限り完全に採取・同定し、種ごとの生物量と種間の「食う-食われる関係」を把握して、食物網に整理した。その際に、真光層中心の表層生物群集から、真光層以深の従属栄養過程中心の、中・深層も含めて、海洋全体の把握を目指した。熱帯・亜熱帯・亜寒帯の外洋表層浮遊生態系で得られた種と各種の生物量の情報をもとに、食性の違いで一次生産者、溶存有機物利用生物、懸濁粒子利用生物の機能群に分け、さらに「小が大に食べられる」という食物連鎖の基本原理を利用して、全生物種を大きさ別にコンパートメントに分けた。それぞれの機能群でコンパートメント化した各生物種を食物連鎖系でつなぐ新しい方法で食物網を推定した。実測データに基づいた全生物種を含んだ食物網の推定は始めてである。種、大きさ、生物量の3つの因子が作用して生物群集の機能が特徴的に決定している様子が明らかになり、従来型の優占生物種に着目した解析では評価されない非優占生物種が関与した重要現象の存在が複数示された。海洋の中・深層の浮遊生物群集は、生産者を欠く従属栄養過程中心の生態系であるが、これについては種ごとの生物量の整理までで、食物網解析は今後に残された。
すべて 2006 2005 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (24件) 図書 (2件)
Marine Ecology Progress Series (印刷中)
Mar.Ecol.Prog.Ser. (In press)
Deep Ocean Water Research Part I 52
ページ: 341-353
Deep-Sea Res. Part I 52
Journal of Oceanography 60
ページ: 543-551
ページ: 773-787
Continental Shelf Research 24
ページ: 527-541
ページ: 1321-1338
Cont.Shelf Res 24
J.Oceanogr. 60
Cont.Shelf Res. 24
Report Series in Geophysics, University of Helsinki 46
ページ: 189-205
海洋深層水研究 4
ページ: 29-37
Deep Ocean Water Research 4
ページ: 73-87
Report Series in Geophysics, University of Helsinki No.46
Deep Ocean Rat.Res. (In Japanese with English summary) 4
Deep Ocean Rat.Res. 4
Journal of experimental Marine Biology and Ecology 271
ページ: 99-120
Deep-Sea Research, I 49
ページ: 1007-1025
Deep-Sea Research, II 49
ページ: 5513-5529
J.exp.Mar Biol.Ecol. 271
Deep-Sea Res.I. 49
Deep-Sea Res.II. 49