研究概要 |
制限酵素による切断という選択圧のもとで、制限酵素の認識配列がどう進化するか、そしてこの選択圧がゲノムの部分配列出現頻度(ワード頻度)をどう改変するかについての包括的な数学理論を構築し、塩基配列データベースを用いた検証を行い、以下のテーマについて解明した。 【1】特定の認識配列にかかる自然選択によって、ゲノム中のすべての部分配列頻度(ワード頻度)についての理論確率分布の導出。ワードの平衡頻度が認識配列の対称性とパタン、ゲノムサイズにどう依存するか。【2】この選択下で生存可能な配列がすべてのランダム配列に占める割合。それが認識配列の種類とゲノムサイズにどう依存するか。【3】選択圧下の平衡状態における突然変異過重【4】ランダム配列から何回の突然変異で生存可能配列に遷移できるか(ホストに新しい制限酵素が導入されたときの置換過重)【5】特定の制限酵素認識配列のもとでの部分配列擬種分布の適応的風景のトポロジー的な性質【6】逆問題。ゲノムデータベースから生成したワード分布から、1)の理論確率分布にもとづき、個々の制限酵素認識配列にかかる選択圧を最尤推定する【7】ファージの遺伝的過重および置換過重を最大にする、ホストにとって最適な認識配列 成果はCambridge大学(UK)、Princeton高等研究所(NJ)での国際シンポジウム、Cornell大学(NY),Duke大学で講演発表し大きな反響を得た。論文は投稿審査中である。
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